特定の専門分野で研修を受け、資格審査や専門医制度に合格した医師が認定されるものです。
診療科目は医師が自由に選ぶことができますが、精神科でも専門医制度ができたことにより、患者さんはより専門性の高い医師を選ぶことができるようになりました。
2005年に、日本精神神経学会による「精神科専門医制度」が開始されましたが、その後も精神科医の中では、国家資格である「精神保健指定医」を重視する傾向がありました。しかし、2014年5月、専門医の質を高め良質な医療を提供するため、新たに専門医制度の評価・認定を行う中立な第三者機関として、一般社団法人「日本専門医機構」が発足しました。
2017年度から新制度がスタートし、日本専門医機構が学会に代わり公正で透明性の高い基準で、専門医の認定、研修プログラムの評価・認定を行うことになります。今後すべての医師は、研修終了後に、いずれかの専門医を取得することが基本となっていくと思われます。
現行の制度では、精神科専門医取得のためには、精神科専門医制度研修施設及び指導医のもとで3年以上の研修を行い、定められた種類、数の症例を経験する必要があります。その上で、専門医試験として、症例報告、筆記試験、口答試験が課されます。
これらは今後新制度に移行してからも、しばらく大幅な変更はないと予想されます。当科の研修では、幅広い疾患や、十分な数の症例を経験することができるうえ、研修プログラム、教育体制も充実しており、専門医取得に関しても十分な環境を提供することができます。
「臨床心理士」は、臨床心理学をはじめとする心理学全般に基づく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする専門家です。
1988年に開始された「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会」による認定資格で、2014年4月1日現在で28,080名の臨床心理士が認定されています。臨床心理士が働く領域は多様で、最も多い勤務先は病院・診療所で、次に自治体からの派遣(スクールカウンセラー等)、専門学校・短大・大学等、児童福祉施設・機関、公立教育相談機関・教育委員会の順に続きます。
臨床心理士になるためには、資格認定協会による資格試験に合格することが必須条件ですが、受験に際しては受験資格の取得が必要となります。主な受験資格としては、資格認定協会が指定している大学院を修了していることなどが挙げられますが、医師免許取得者は心理臨床経験が2年以上あれば受験資格を得ることができます。
実際、当クリニックの精神科医師で臨床心理士資格も併せて取得している者もおり、精神医療における有益なスキルといえます。
受験資格・資格試験についての詳細は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のウェブページをご参照ください。
臨床心理士の専門技術は、主に表中の4つに分類されていて、これらをもとに心理低観点から患者さんの理解を図り、かかわりの実践を行っています。
当科には、常勤臨床心理士2名、非常勤臨床心理士2名が所属していて、精神科医師、看護師と協働しながら患者さんの支援を行っています。特に当クリニックは、それぞれの職種の視点を尊重して協働するという素地が十分に備わっていて、医学・看護・心理的側面からの意見を交換しながら協力して、患者さんの支援計画を相談しています。
また、当クリニックでは資格認定協会が指定している大学院の大学院生に対する実習も受け入れていて、医学部学生・研修医と同様に、精神医療の現場での体験を重視しています。