当メンタルクリニックでは、後期研修医2名、精神保健福祉士、非常勤の心理士の方々を新たにメンバーとしてむかえ、気持ちもあらたに2016年度のスタートを切ることになりました。
また、この機会にブログの更新頻度を少し増やして、当科での活動の一端を少しずつご紹介していきたいと考えています。よろしければ、ときどきチェックしてみてください。
当メンタルクリニックでは、後期研修医2名、精神保健福祉士、非常勤の心理士の方々を新たにメンバーとしてむかえ、気持ちもあらたに2016年度のスタートを切ることになりました。
また、この機会にブログの更新頻度を少し増やして、当科での活動の一端を少しずつご紹介していきたいと考えています。よろしければ、ときどきチェックしてみてください。
日本では、がんは死亡原因の第1位で、3人に1人ががんで死亡し、2人に1人ががんになっています。
高齢化に伴いより、がんの患者数は増加する傾向にあります。がん患者さんは、がん自体の症状の他に、痛み、倦怠感などの様々な身体症状や、抑うつ、悲しみなどの精神的な苦痛、経済的な問題や家庭での役割喪失などの社会的苦痛、生きる価値や意味を見いだせないといった「スピリチュアル・ペイン」を経験することがあります。
「緩和ケア」では、がんと診断されたときから、治療後まですべての時期において、これらの苦痛を和らげ、患者さんやご家族のQOL(Quality of Life;生活/生命の質)を向上させるための治療・ケアを提供します。緩和ケアは、様々な症状、苦痛に対応するため、医師・看護師・薬剤師・栄養士・臨床心理士・リハビリテーションスタッフ・医療ソーシャルワーカーなど、多職種のチームで行われ、定期的なカンファレンスが開かれています。
われわれメンタルクリニックでは、精神科医、精神看護専門看護師、臨床心理士が、緩和ケアチームに加わり、がん患者さんの精神症状の対応、自殺企図・自殺予防に向けた取り組み、鎮静を含めた終末期の問題や、意思決定能力の判断などの倫理的問題への対応、家族・遺族ケア、意思決定支援を含む医療者・患者間のコミュニケーション支援など、多岐にわたる重要な役割を担っています。
緩和ケアチーム診療加算要件には、常勤精神科医師の存在が必須です。また、緩和ケアが広く普及していくとともに、がん患者さんやご家族の精神心理的な苦痛への対応の要望も高まっていて、総合病院精神科診療において緩和ケアの重要性は増大してきています。
今年の川越祭りも、10月17日(土)18日(日)で終わり、朝晩は肌寒い季節になってきました。初期研修医の皆さんは、そろそろ後期研修先を決める時期でしょうか。それに伴って、専門分野も決めることになります。2017年からの新専門医制度をにらんで、19の専門医のどれを目指すのかも重要なポイントです。当院のメンタルクリニック(神経精神科)には、精神科専門医の指導医が3名おり、その他の医局員も精神科専門医の取得を目指しています。入局の勧誘については、診療科の傾向として、積極的な声かけは行っていません。興味と適正のある方にぜひ入局して頂きたいと思っています。興味のある方は気軽にご連絡ください。病院内の方も、大学内の方も、外部の方も歓迎しています。一度、医局の雰囲気を見てから決めることをお勧めしています。(連絡は当院当科ホームページからお願いします)
サイコネフロロジー(psychonephrology)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「psycho=精神医学、nephrology=腎臓病学」という言葉の通り、腎疾患に関係する精神医学の一分野で、コンサルテーション・リエゾン精神医学(consultation-liaison psychiatry)のうち、腎不全や透析、腎移植などに関わる部分を言います。
ご存じのとおり腎疾患患者さんは、その病気の進行に伴い透析や腎移植、そのほか治療に関する多数のストレスに直面することになり、これらは精神疾患やさまざまな問題を引き起こす原因となります。腎疾患患者の心理と行動、さらに患者さんの生活の負担や生き方と死の問題などを重視し、それらに関する臨床、研究などを行っていく分野がサイコネフロロジーなのです。
海外では、透析患者の中で「強い抑うつ症状」を持つと判定される人の頻度は、15~16%と言われています。しかし、当科が行った日本における不安・抑うつの実情調査では、大うつ病2.9%、不安障害5.8%と、諸外国と比べて頻度が低い結果が出ました。このような外国との相違は重要であり、日本と欧米では一般的な文化的特徴が異なるばかりではなく、透析患者の医学的特性、透析の実施方法なども異なっていることが理由として考えられています。
また、日本の透析患者の特徴として冠動脈疾患や脳血管疾患が少なく、生命予後が欧米と比較して良好であること、医師による診療回数が多いことなども報告されており、日本の透析医療の優れている点が明らかにされています。当科では、以上のようなサイコネフロロジーに関する研究、教育を行っています。
糖尿病は、苦痛と生活の制約を伴う代表的な慢性疾患のひとつであり、患者さんには様々な心理的・行動的問題が起こります。当科では、内分泌・糖尿病内科と協働しながら、糖尿病療養における心理的ケアの取り組み(「健康カウンセリング」と呼んでいます)を行っています。
■糖尿病の療養における心理的ケアの必要性
糖尿病療養は、患者さんに大きな心理的な負荷がかかり、抑うつ、不安、怒り、動揺などの心理的反応につながりやすくなることが指摘されています。糖尿病の状態が良好に維持されていても、日々のセルフケア(食事療法、運動療法、服薬アドヒアランスの維持)の継続自体も、患者さんにとっては強いストレスとなり得ます。
また、糖尿病と精神疾患の併存(特にうつ病)については多くの報告があり、それらがセルフケア行動の減少などにつながりやすくなります。さらに、病気以外の日常生活におけるストレスが、療養行動にネガティブな影響を与えることも少なくありません(図)。
このように、糖尿病が患者さんの精神状態に与える影響と、患者さんの精神状態が糖尿病治療に与える影響の双方向性が考えられ、心理的なケアが必要となります。「糖尿病に対してどのような気持ちや苦痛があるのか」、「病気や治療が生活にどのような影響や支障を与えているのか」などを教えてもらいながら、気持ちや生活に沿った療養の相談を行っています。
■糖尿病療養に行動科学を生かす
また、他の病気の治療に比して、糖尿病療養では患者さん自身に求められることが格段に多いのもひとつの特徴です。
私たちは患者さんに、主に
①食事療法(例:野菜を食べる)、
②運動療法(例:ウォーキングする)、
③薬物療法のアドヒアランス(例:注射を打つ)
の3つへの取り組みを望んでいます。
すなわち、これらはすべてが“行動”であるという共通点を持ち、医療者は患者さんに新たな“行動”が生起し、維持されることを期待しています。
我々人間は、日々行動の選択をしていますが、その選択には、そのときの環境や身体感覚、気持ち、考えが影響を与えています。したがって、適切な行動選択の頻度を高めるためには、この行動の周辺要因のアセスメントをすることが有用であり、こうした分析とそれによる治療を可能にするのが、行動科学に基づく認知行動療法です。
当科では、行動科学的視点から目標とする行動について患者さんと一緒に振り返り、療養行動がより取り組みやすいものになるよう相談を行っています。
埼玉医科大学総合医療センター メンタルクリニックのウェブサイトへようこそ!
当クリニックは、埼玉県川越市に位置する埼玉医科大学総合医療センターのメンタルクリニックです。
こちらのブログでは、患者さんに取って役に立つ情報から、専門性の高い内容まで随時更新します。
お楽しみに。