今年の川越祭りも、10月17日(土)18日(日)で終わり、朝晩は肌寒い季節になってきました。初期研修医の皆さんは、そろそろ後期研修先を決める時期でしょうか。それに伴って、専門分野も決めることになります。2017年からの新専門医制度をにらんで、19の専門医のどれを目指すのかも重要なポイントです。当院のメンタルクリニック(神経精神科)には、精神科専門医の指導医が3名おり、その他の医局員も精神科専門医の取得を目指しています。入局の勧誘については、診療科の傾向として、積極的な声かけは行っていません。興味と適正のある方にぜひ入局して頂きたいと思っています。興味のある方は気軽にご連絡ください。病院内の方も、大学内の方も、外部の方も歓迎しています。一度、医局の雰囲気を見てから決めることをお勧めしています。(連絡は当院当科ホームページからお願いします)
月別アーカイブ: 2015年10月
サイコネフロロジー
サイコネフロロジー(psychonephrology)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「psycho=精神医学、nephrology=腎臓病学」という言葉の通り、腎疾患に関係する精神医学の一分野で、コンサルテーション・リエゾン精神医学(consultation-liaison psychiatry)のうち、腎不全や透析、腎移植などに関わる部分を言います。
ご存じのとおり腎疾患患者さんは、その病気の進行に伴い透析や腎移植、そのほか治療に関する多数のストレスに直面することになり、これらは精神疾患やさまざまな問題を引き起こす原因となります。腎疾患患者の心理と行動、さらに患者さんの生活の負担や生き方と死の問題などを重視し、それらに関する臨床、研究などを行っていく分野がサイコネフロロジーなのです。
海外では、透析患者の中で「強い抑うつ症状」を持つと判定される人の頻度は、15~16%と言われています。しかし、当科が行った日本における不安・抑うつの実情調査では、大うつ病2.9%、不安障害5.8%と、諸外国と比べて頻度が低い結果が出ました。このような外国との相違は重要であり、日本と欧米では一般的な文化的特徴が異なるばかりではなく、透析患者の医学的特性、透析の実施方法なども異なっていることが理由として考えられています。
また、日本の透析患者の特徴として冠動脈疾患や脳血管疾患が少なく、生命予後が欧米と比較して良好であること、医師による診療回数が多いことなども報告されており、日本の透析医療の優れている点が明らかにされています。当科では、以上のようなサイコネフロロジーに関する研究、教育を行っています。